PCがネットに繋がらないときの対処法
「昨日まで普通に使えていたのに、今日はなぜかネットにつながらない」
ITサポートに携わっていると、そんな“ある日突然のトラブル”に日々出会います。
今回は、実際に発生した「有線も無線も一切つながらないPC」を復旧させた話をベースに、再発時に役立つポイントを紹介します。
症状:どのネットワークにもつながらない
ある日、社内の1台のノートPCで次のような症状が発生しました:
- Wi-Fiにも有線LANにも接続できない
- 複数のLANケーブル・ドック・USB-LANアダプターを試しても変化なし
- 他のPCでは同じ環境で問題なく通信できている
つまり、PC側でのみネットワークが完全に使えなくなった状態でした。
試したこと
まずは基本的なトラブルシューティングを実施:
- デバイスマネージャーからネットワークアダプター(Wi-Fi、イーサネット)をアンインストール → 再起動
- ネットワーク設定のリセット
「設定」→「ネットワークとインターネット」→「ネットワークリセット」 - IPアドレスの再取得
C:\> ipconfig /release
C:\> ipconfig /renew
…それでも直らない。
Windowsのネットワークトラブルシューティングを実行しても、
表示されるのは「イーサネットに有効な IP 構成がありません」というエラー。
解決した方法:ネットワーク構成の完全リセット
最終的に試したのが、以下のコマンドによるWindowsネットワーク構成のリセットです。
管理者としてコマンドプロンプトで実行:
C:\> netsh winsock reset
C:\> netsh int ip reset
その後PCを再起動すると、 Wi-Fiも有線LANも完全に復旧。
まるで何事もなかったかのように通信が戻りました。
なぜこれで直ったのか?
Note
netsh winsock reset
→ Windowsの「Winsockカタログ(通信の基盤)」を初期化します。
netsh int ip reset
→ IPアドレスやネットワーク関連の設定(レジストリ含む)を初期状態に戻します。
この2つのコマンドは、Windowsでネットワークに関する問題が発生したときの“最後の砦”とも言える存在です。
補足:使用していたPC環境について
このトラブルが発生したのは、以下の構成でした:
PC機種:Surface Laptop 6
OS:Windows 10
SurfaceシリーズとWindows 10の組み合わせでは、以下のようなトラブル報告が散見されます:
- Windows Update後にネットワーク設定が破損する
- USB-Cドック接続時にLANポートが一時的に無効になる
- セキュリティソフトやVPNクライアントによってWinsock設定が壊れる
このため、Surface環境では特にネットワーク設定の初期化が有効な対処法となる場合があります。
再発防止とメモ
バッチファイルでの自動化例
@echo off
netsh winsock reset
netsh int ip reset
pause
上記を .bat ファイルとして保存しておけば、万が一再発した場合にもすぐに対処できます。
他にも効く場面
- 複数アダプタで同じ症状が出るとき(USB-LAN含む)
- IPアドレスが169.254.x.xなど「自動構成アドレス」のとき
- DHCPでIP取得できず、「有効な構成がありません」と出るとき
おわりに
今回のように、一見手詰まりに見えるネットワークトラブルでも、
基本に立ち返って1つずつ検証し、最後にネットワーク構成を初期化することで解決できるケースがあります。
もし同様の症状で悩んでいる方がいれば、今回の方法を試してみてください。